株式会社PILLAR
RECRUITING WEBSITE
ENTRY
プロジェクトストーリー

部署の枠を越えて、
新しい素材を開発した
その先で、
新しい可能性が
生まれる。

03 [新材料への挑戦]

PROJECT MEMBER

三田技術部MS開発グループ 奥村 淳矢 OKUMURA JUNYA 工学部機械学科卒 2015年入社
開発部材料開発グループ 東 裕佳 HIGASHI YUKA 先端技術科学教育部 物質生命システム工学専攻(化学) 2014年入社

部署の枠を越えたタッグが、
新しい開発プロジェクトに挑戦。

より付加価値があり高品質な製品をつくりだすために、PILLARが創業から一貫して取り組んでいること。その一つが新材料の開発である。これまでにもメカニカルシールやグランドパッキンなどに新材料を積極的に取り入れることで、PILLARの独自性を打ち出してきた。そして2018年、新材料のダイヤモンド成膜技術の開発プロジェクトがスタート。メカニカルシールへの採用に向けて、開発部の東と三田技術部の奥村がタッグを組むことになった。

「きっかけは、お客さまのニーズに応えるためです。従来のメカニカルシールでは摩耗や損傷が発生する高負荷な条件があり、それに対応するには新しいアプローチを考える必要がありました。部内で何度も検討を重ねる中で、ダイヤモンドの高い耐久性に着目し、メカニカルシールに成膜するというアイデアを思いつきました」と奥村が振り返る。

ただ、実際にダイヤモンドを使用した成膜技術を開発できるのか。そして、製品としてお客さまが求める基準を達成できるのかという実現性については、三田技術部内ではクリアできる見通しが立っていなかったという。そこで開発部の東に声が掛かり、奥村とともにこのプロジェクトを進めることになった。「ダイヤモンドはPILLARで初めて使う素材でした。本当に未知数な要素が多く不安もありましたが、新しい可能性にチャレンジするのが材料開発グループの使命なので迷うことなく参加を決意しました。あと、開発に成功すれば今まで味わったことの達成感を得られると感じましたね」と東はスタート時の思いを語る。

同時に、奥村も「ダイヤモンド成膜を使用した新しいメカニカルシールが完成すれば、お客さまの課題をクリアするだけではなく、PILLARが活躍できるシーンを広げることもできるはずです」とこのプロジェクトへの期待感を話した。そして、二人は今まで歩んだことのない道へと一歩を踏み出した。

ゼロベースからのスタート。
お客さまの声を指針に前へ進んでいく。

東はダイヤモンド成膜技術でベストなダイヤモンドを成膜すること、奥村はそれをお客さまが要望するメカニカルシールへと落としこむことに取り組んだ。東にとっては、これまでのノウハウを活用できないゼロベースからのスタートとなった。「もともと金や白金を使った成膜技術は扱っていました。でも、ダイヤモンドの原料は炭素なので、金属とはまったく違う性質を持っています。成膜という意味では同じですが、まったく別の方法で開発していく必要がありました。最初は、前に進んでいるのかさえもわからないぐらい手探りの状況でしたね」と東はスタート後の心境を正直に語る。

奥村も、その難しさを理解していた。「東さんの頑張りで品質が安定してきたと思っても、成膜環境のわずかな違いで振り出しに戻ることが何度もありました。本当に難易度の高い開発を進めているのだなと常に感じていましたね」。一方で、ただダイヤモンドを使用した成膜技術の開発を成功させるだけでは意味がなかった。お客さまが求めるメカニカルシールの形状や性能、コスト、そして納期に応えることで初めてミッションはクリアとなるからだ。「ダイヤモンドをメカニカルシールにコーティングして検証する作業も必要で、乗り越えるべき課題は数多くありました」と奥村は振り返る。

そんな中、二人の指針となったのがお客さまの生の声である。東は「私も奥村も実際にお客さまにお会いして、現在の課題をお伝えしたうえで改善点を探っていくことを大切にしていました。方向性が明確になると同時に、お客さまの想いを汲み取ることもできるので、より良いものをつくりたいとモチベーションもアップしました」と語る。奥村も続けて、「やはり、お客さまの視点に立って製品化に取り組むことが最も大切です。そうすることでブレることなく、諦めることなく前に進めました」と話した。

情報のスピーディーな共有が、
成功への原動力に。

東と奥村がタッグを組んだ今回の開発プロジェクト。二人が開発を進めるうえでルールとして守っていたのが「情報のスピーディーな共有」である。「例えば、検証結果が出たときは画像やデータを貼っただけの即席の資料でもいいので、すぐに奥村さんに見せていました。詳細なレポートをつくったり、会議を定例にしたりすると、その分、進捗が遅くなってしまいます。情報の内容によっては軌道修正が必要なケースもあるので、最大限のスピード感を持って情報を共有するにしました」と東がその意図を述べた。

奥村は、ありのままの情報を共有することも意識したという。「失敗などのネガティブなことが起きると、当事者としてはできる限り良い方向に考えようとしてしまいます。でも、ありのままに共有すれば客観的な意見が集まり、新しいアイデアを得ることができます。結果として、課題解決のスピードも上がりますね」。

同時に、二人は外部の知見も積極的に得るようにした。東は「最初、ダイヤモンドについてはわからないことばかりで、自分で調べても奥が深すぎ。だから、セミナーや学会への参加はもちろん、専門家の方に直接連絡して『ダイヤモンドについて一から教えてください』と伺ったこともあります。振り返ると、その時は修行に出ているような気持ちでしたね」と笑みを浮かべる。さらに、二人は外部から得た知見をお互いによりメリットがあるように共有したという。奥村は「私は機械工学、東は化学というそれぞれが得意とするフレームで捉えますが、その解釈も含めて共有したことで知識の幅が広がりましたね」と語る。

情報や知識の共有をスピーディーに、スマートに。こうした二人の姿勢によって、開発プロジェクトは成功に近づいていく。

新材料の開発に成功とともに、
さまざまな面で可能性が広がる。

約1年近くの検証期間を経て2019年11月、新材料であるダイヤモンドを使用した成膜技術の開発に成功。そして、メカニカルシールへのコーティングもクリアし製品化へ辿り着いたという。だが、達成感を味わったのも束の間、現在はお客さまの実際の環境でテスト運転をしている段階。「ここからがある意味本番であり、修正点が発生すれば、すぐに対応しブラッシュアップしていきます」と二人は語り、すでに次のフェーズへと気持ちを切り替えている。

このプロジェクトを通して、東も奥村もさまざまな面で可能性が広がったという。「一つは、自分の業務の可能性ですね。東さんと一緒に仕事に取り組めたことで、化学的なアプローチを学べました。結果として今、成分分析の技術などを活用することで、新しい角度からメカニカルシールの用途の幅を広げていこうと考えています」と奥村は語る。続けて東は「このダイヤモンド成膜の技術は汎用性が高いので、メカニカルシール以外の製品にも応用できそうです。横展開を進めていけば、PILLARの新たな柱として成長することができると信じています」と力強く話した。

部署という枠を超えて一つの開発プロジェクトを成し遂げた東と奥村。今後は、このケースをモデルとして、もっとシームレスな組織になっていくことを期待しているという。「PILLARには、グランドパッキンや免震、サーキュレーションなど、さまざまな材料を活かした幅広い製品を開発しています。それぞれの部署がもっと連携するようになれば、開発者や技術者のアイデアの幅が広がり、新しいイノベーションをきっと起こせるはずです。今回のプロジェクトでそう実感しました」と奥村は話す。

そうした現場の想いとこれからの未来を見据えて、PILLARは2020年、開発力のさらなる向上を推し進めるべく、新材料の研究開発に特化した材料開発グループを設立。東はこのグループに所属することになり、「さらに新材料の開発を推し進めていきたいですね」と抱負を語った。

これからも“新しい”を次々に生み出し、お客さまと社会の課題を広く解決してくために。東と奥村は、飽くなき挑戦をつづけていく。

アフリカでの
チャレンジ
次世代ポンプの開発

関連コンテンツ

KNOW 新製品・新市場開発とは PEOPLE 一人の技術者として、
自分の手でつくりたい。
新しい市場を切り拓く、新しい製品を。